2024/01/24
ゼロトラストは現代のネットワークセキュリティにおける新たなパラダイムである。言葉の通り、”ゼロトラスト”はネットワーク内部の全てのデバイスやユーザーが、必要なリソースへのアクセス権を得る前に信頼性を証明しなければならないという概念を表している。これは内部ネットワークは安全であるという従来の考え方から一変したものであり、ゼロトラストはその名の通り「信頼しない」ことを基本としている。ゼロトラストの考え方を適用することで、ネットワーク内部で発生する潜在的な脅威に対するセキュリティが強化される。
これは、従来のネットワークアーキテクチャでは、内部からのアクセスに対しては比較的緩やかな管理が行われ、それが逆に内部の脅威を生む可能性を秘めていた。しかしゼロトラストアーキテクチャでは内、外部に関わらずすべてのアクセスが厳格に監視・管理されるため、それらの潜在的なリスクを軽減する。また、ゼロトラストのもう一つの特徴は、最小限の権限(LeastPrivilege)原則を採用している点である。これはユーザーまたはシステムが必要な機能を実行するために最低限の権限だけを持つべきだという考え方である。
この原則の適用によって、ネットワーク内部での不必要な権限拡大を防ぎ、潜在的な脅威からシステムを守る。ただし、ゼロトラストの実装には高度な技術と戦略的な準備が必要であり、一夜にして実現できるものではない。正確なユーザー認証、包括的なエンドポイントセキュリティ、厳密なネットワーク監視、そして高度な暗号化が求められる。これらは全て一貫して接続されたネットワーク環境の中で、継続的に適応し進化しなければならない。
これらのことから、ゼロトラストは現代のネットワークセキュリティを再定義する新たなアプローチであり、今後ますます重要性が増してくると考えられる。それはいかに信頼性を確保し、かつ最小限のアクセス権限で適切な業務を行えるか、という課題を解決する手段であり、これからのIT・通信関連の技術に一層の進化をもたらすであろう。